カタメ 2
幹夫はその日も一人で家に帰った
幹夫は学校から家まで自転車で通っていた
20分くらいの距離だ
幹夫はアーケード街を通って帰る
そこにハンバーガーショップがあるのだが
そこを通った時
香織が友達とちょうど出てきたのだ
幹夫は何故かその日後をつけた
自分でもわからないが
香織の後をつけてしまった
香織も自転車で下校していた
後をつけていく
自分の家とは違う方向に向かう
幹夫は感じていた
彼女を好きなんだな
自分が嫌われてる、みんなから気持ち悪がられてる
それは知っていたし、どうでもいいと思っていた
でも俺にも誰かを愛する権利はある
むくわれるとか、そういう事じゃない
彼女を愛してるんだ
ただこうして後をつけているだけで
胸が苦しい
他の人が見れば
気持ち悪いと思うかもしれない、いや思うだろう
彼女が知れば
ストーカーと思い
学校に言われるだろう
だが
誰にもきずかれず
特に何もしなければ
ただ俺が彼女を愛してるというだけで
誰に迷惑だかかるわけでもない
こうしているだけでいい
後ろから見ているだけでいい
坂道を登ると
他の人に聞こえなくても
自分には彼女の息使いや鼓動が聞こえる
彼女と一つになれる
彼女をじっと見ていられる
学校ではじっと見ていると噂になってしまう
そうなれば彼女は俺をさける
だが今なら
見たいだけ見れる
見ていたい
彼女を見ている時間だけが
俺が生きている時間
見るという事が
こんなに素晴らしいものだったとは
醜くても
頭がよくなくても
それでも俺は見る事ができる
彼女を見ていられる
それ以来幹夫は下校時に
香織の後をつける
彼から言わせれば
彼女と一つになる為に