カタメ 9 | サムライTRADER ゲッツ

カタメ 9

安藤ってキモイ、キモイと思ってたからじっと見たことなかったけどさ

今日ちょっとよく見たら片目動かないじゃん

香織ってあいつと話した事あるじゃん?

あいつ前からあーだったっけ?


わかんないなー、話した事あるけどよく見てないから

どっちでもよくない?安藤の片目なんて

私たちに関係ないし


なんで君は今日ここに来たんだ

そしてなんで今日、よりによって俺の話しをしたんだ

なんで今日俺は香織の後をつけなかったんだ

なんで、なんで、なんで


香織達が店を出て

幹夫は後をつける

香織の後をつける

アーケードを抜けて国道に出て

香織の家の方に向かう

人影のいない交差点

静かな夜


「香織さん」

幹夫は香織を呼ぶ

香織は一瞬とまどう

「安藤君、どうしたの?」

「僕のね、片目は動かないんだよ、見てご覧」

香織の顔色が変わる

おびえた目になっている

「何をおびえてるの?前から動かなかったわけじゃないんだ」

「う、うん」

「3ヶ月前に君が倒れたろ

あの時君は本当は車に轢かれたんだ

その時君の目の玉が飛び出してしまって

僕の目の玉を君にあげたんだよ」

香織は完全に固まっている

唇がかすかに震えてる

「それでね、今日は返してもらいに来た

君にあげた、僕の目の玉を返してもらう事にしたよ」


その瞬間幹夫は香織の髪の毛をつかみ

右手の親指と一指し指を香織の目に入れる

香織の叫び声

指をめり込ませ

自分の目の玉をえぐる

香織についている目の玉をえぐりだす

香織は両手両足をバタバタさせ

地面でもがき苦しんでいる

幹夫は取り出した目玉を

自分についている香織の目の玉をはずし

元の位置に収めた

香織の目に香織の目の玉を戻す

しかし暴れている為に

香織の目の玉は地面に転がった

幹夫は何回か瞬きして

自分に戻った目の玉の感触を確かめた

見えない片目

見えない片目から

何故か涙が出てきた

バタついている香織を見て

転がっている香織の目の玉を見た


「これで元に戻ったな」






                                完


15年以上前に考えた脚本です

楽しめたかな?

いや気分悪くなったかw

今年は何か新作を書きたいと思います

次ぎは

日本人初の革命家がシルクロードを行きながら土地土地で戦い、恋をする話かw

誰からも必要とされなくなった男が、その後どうやって生きて、死んだかの話かw

でもやっぱり

夢のある話を書きたいなーと思う